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記事詳細
2011/12/12
2011年のミレジムを振り返って
こんにちはシャトー・メルシャンのヴィンヤード・マネージャーの弦間です。
収穫期・仕込み時期の喧騒も一段落し、ワイナリーは落ち着きを取り戻しつつあります。
さて、本日は2011年のヴィンテージを産地ごとに振り返ってみようと思います。
秋田県 大森地区
記録的な積雪となった「48豪雪」(昭和48年)以来の豪雪となり、高さ2mに設置されているブドウ棚は雪ですっぽり埋もれてしまい、栽培家は樹体の損傷やブドウ棚の資材が倒壊するのを守るため、連日雪を掘り起こす作業に追われました。
樹体が雪に埋もれた期間は例年より1カ月程度長く、春先の気温は平年を下回ったため、ブドウの萌芽は昨年より4~5日の遅れとなりました。
5月中旬以降、気温の変動が小さく暖かい日が続いたため、生育の遅れを少しずつ挽回し、満開期で3日程度の遅れまで回復しました。
降水量は4、5月がほぼ平年並み、6、7月はやや少なかったものの中旬の蒸し暑さにより、若干のべと病が発生しました。
8月中旬にかけては降水量が平年を下回り、晴天が続きました。
農薬の適期散布により病気発生を最小限に食い止め、ブドウは成熟期を迎えました。
新梢に花穂(果房)が付かない新梢があり、房数が少ない事で樹体の負担は軽減され、例年にない糖度が高いブドウが得る事が出来ました。
収穫期にかけて秋雨に見舞われ一部で病気が発生しましたが、栽培家により手間隙をかけて病果を取り除く事で、良質なブドウのみを収穫することが出来ました。

冬の大森地区、ブドウ棚がすっぽり雪に覆われています。

収穫期の大森地区、美しい眺めです。
福島県 新鶴地区
冬は前年の大雪(12月25日の初雪)から始まり、例年になく降雪が多く融雪期間が3ヵ月と長く、サクラの開花は昨年より7日遅れました。
4月まで低温傾向で推移したため、ブドウの萌芽は昨年より11日遅れましたが、5月は暖かい日が続いたため、生育は5日遅れまで回復しました。
梅雨中期まで降雨少なく、蒸し暑い日が続いたため一部で灰色カビ病が発生しました。そのため栽培家は病気蔓延の原因となる「花カス落とし」を徹底して行いました。
後期は連日降雨があったが、梅雨明けとともに暑さと乾燥状態が続いたためベレーゾン期には育成は例年並みとなりました。
暑さは9月上旬まで続いたが、中旬からは曇天や雨の日が多くなり一雨ごとに涼しくなりました。
低温と暑さが交互に訪れた年であったため、各園の成熟期にバラつきがあり、適した熟度に達した園から収穫を行なうことで良質のブドウを収穫する事ができました。

冬の新鶴地区、雪が深く積もっています。

収穫期の新鶴地区、抜けるような青空が美しいです。
長野県 北信地区
1、2月は暖冬で降雪は少なかったのですが、3月から断続的に寒気が流れ込み低温は5月上旬まで続きました。これによりブドウの萌芽は1週間遅れました。
萌芽から展葉までに時間がかかったため遅霜害の心配は回避されました。
その先の展葉は、低温によりもどかしいほど生育が遅れましたが、5月中旬に温暖となり生育遅れを挽回し、開花は昨年の3日遅れほどとなりました。
梅雨は雨が頻繁にスコール化し、亜熱帯地域の雨季を思わせるような梅雨期となりましたが、雨上がりから葉や新梢が早く乾くのが垣根栽培の強みです(北信地区は垣根栽培)。
加えて防除活動をこまめに行い、病気の発生を防ぎました。葉に晩腐病、ベト病が発生したが、果実は無害で収穫期を迎えました。

収穫期の北信地区、壮大な山並みを望みます。
長野県 塩尻地区
発芽、開花とも例年より1週間~10日遅れ、生育全体の遅延が心配されました。
例年になく早い入梅と梅雨明けを経過し、早い時期から真夏の猛暑が訪れました。
そのため生育の遅れも取り戻し、病害の発生も少なく順調な成熟期を迎えられると思われましたが、8月は大気の状態が不安定で、ブドウの成熟に一抹の不安も感じられました。
9月には2度の雨台風の影響を受け、それまで病害の発生が無かったブドウに晩腐病を発生させました。
そのため、手間隙をかけて病果を取り除く事で、良質なブドウのみを収穫することが出来ましたが、収穫量は減少しました。

収穫間近のメルローの垣根の畑。

収穫間近のメルローの棚の畑、フルーツラインがそろうように仕立てられています。
長野県 椀子(マリコ)ヴィンヤード
冬季は暖冬気味でしたが、冬型の気圧配置となる日が多く、大雪となる日がありました。4月の上中旬は高気圧に覆われ晴天が続きましたが、下旬は低気圧や前線の影響で安定した天候が続かず気温も上がりませんでした。
5月の上旬は気温が上がらず発芽は平年と比べ10日程の遅れとなりました。
下旬は前線や台風の影響で雨が続き、関東甲信地方は27日頃、統計開始以来2番目に早い梅雨入りをしました。
梅雨の間は一部区画でベト病の発生も確認されましたが、一日中雨の降る日は少なく、蔓延には至りませんでした。
7月9日には平年に比べ12日も早く梅雨明けを迎えました。
8月は気温の変動が大きく、大気の状態が不安定になる日が多かったため、病害の発生も懸念されましたが適切な防除の徹底により、無事収穫時期を迎えられました。
ソーヴィニョン・ブランやシャルドネは順調に収穫できました。一方で9月に上陸した2つの台風の影響によって、収穫後期にメルローの一部に晩腐病、房枯れが見られました。
カベルネ・ソーヴィニヨンは10月の好天に恵まれ順調に生育し、椀子(マリコ)ヴィンヤードとして収量は過去最高を記録しました。

初夏の椀子(マリコ)ヴィンヤード、広々とした畑は壮観です。
山梨県全般
今春の前半は冬型の気圧配置となる日や冷涼な高気圧に覆われ、晴れた日が多くなりましたが、平均気温は寒気の影響で3~4月は低く推移したため、ブドウの萌芽は大幅に遅れてしまいました。
5月の気温は平年並みに回復しましたが、下旬には前線や低気圧、台風の影響により曇りや雨の日が多くなり、平年より12日早い5月27日に梅雨入りしました。
そのような気象条件の下で、平年より7日、昨年より3日遅れてブドウは開花しました。
6月中旬まで、梅雨前線の影響を受け曇りや雨の日が多くなりましたが、昨年のような連日の降雨はなく、畑が乾く間があったため、病気の発生は軽減されました。
下旬から7月中旬までは太平洋高気圧に覆われ晴れて暑い日が続き、ブドウは生育の遅れを挽回しました。
台風6号が接近した19日を境に暑さは失速し朝晩の冷え込みと日中の涼しさは秋を感じさせるような陽気が続きました。
「季節が1ヶ月前倒しとなり、このまま夏は戻って来ないのか」と思われた8月上旬から猛烈な暑さが戻り19日まで続きました。
その後は、秋雨前線の影響による雨を境に涼しさが続き、夏と秋が交互に訪れたような特異な年となりました。
ヴェレーゾン始めは昨年と同じ時期まで回復しました。
順調に進んできた生育も、8月下旬からのゲリラ豪雨や9月の台風の影響で、過剰な水をブドウの根が一気に吸い上げたため、ベリーAの果皮は水圧に耐え切れず一部では裂果が見られました。
甲州は、遅摘み地域ほど晩腐病が多発しました。これにより収穫時期や破砕時での果実の選別などの対処の有無で大きく品質に差が生じそうなミレジムとなりました。

収穫間近の甲州

収穫間近のマスカット・ベリーA
さまざまな事があった2011年ですが、ブドウはこのように育成をしてきました。
今年のブドウがすばらしいワインになる事を願いつつ、2012年のブドウ育成に向けてまた日々の活動は続きます。




